AIRHEART Official Blog

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メーカーやパラグライダーの最新情報をお届けします。

PHI TENORをチェック!!


ようやく2機目のPikaichi Check!!です。

今回は、PHIのスタンダードBクラスである「TENOR(テノール)」です。

テクニカルデータをチェックする

では、TENORのテクニカルデータをチェックします。



今回乗ったのはTENOR 23です。メーカーサイズ表記ではLなんですけど、体重レンジは90-110Kgです。ど真ん中に当たる装備重量100Kgで乗ってみました。

平面アスペクトは5.14、投影アスペクトは3.67です。一応他の同クラスグライダーと比較してみると

GRADIENT GOLDEN5 平面アスペクト 5.34 投影アスペクト 3.88
NIVIUK HOOK5 平面アスペクト 5.3 投影アスペクトは記載なし
GINGLIDERS ATLAS2 平面アスペクト 5.21 投影アスペクト 3.86
NOVA ION5 平面アスペクト 5.16 投影アスペクト 3.52

などとなっており、NOVAのION5に近い数値になっていることがわかります。見た目も大人しい印象を受けます。



スーパーAクラスとしてセンセーショナルなデビューを果たしたシンフォニアと同じ翼形を持ちながらも、エアインテーク周りの構造はミニリブを採用することでセル数50ながらも100と同じ効果でリーディングエッジをより精密に成形しています。
単純にシンフォニアとテノールのデータ(Mサイズ)を比較すると、平面翼面積はシンフォニアが26㎡に対しテノールは24.98㎡。メーカーのサイズ表示はシンフォニアのMサイズが22、テノールのMサイズが21となっており、テノールが小さい設定になっています。このあたりはテノールの設計思想に基づいており、小型高翼面荷重でスピード性能を高めることを目的としているようです。

乗ってみた

冬の朝霧エリアで、大勢のパイロットとともにタスクを回りながらフィーリングを確かめてみました。
まず、ライズアップはとても軽く、Aライザーに軽くテンションを与えるだけでゆっくりと確実に頭上まで立ち上がってきます。風の強弱によっては少しの抑えは必要ですが、これは一般的なグライダーのテイクオフと同じ。
頭上のテノールを確認したのち、しっかりと荷重をかけて走りこめば簡単に離陸することができました。



コントロールはリニアな感触

空中で頭上を見上げてみると、両翼端側にリーディングエッジから外側へ向けて斜めに2本のラインが入っていて、この翼がテノールであることを主張しています。翼は堅く、しっかりとパイロットを支えてくれる安心感のある乗り心地。
やや強めのスティッキーなサーマルでセンタリングをしてみると、コントロールはダイレクト且つリニアな感じ。引き始めからすぐに反応し、引く量に合わせて旋回もタイトになっていく。操作するのが楽しいと思わせてくれるハンドリング。ただし、ダイレクトな反応を示すだけに引き過ぎはオーバーコントロールにつながってしまいます。サーマルセンタリングとは言えタイト過ぎる旋回は効率を悪くするだけ。引きこんでノーズが切れ込んでいくような旋回ではなく、少し外翼を抑え気味にしてしっかりと上昇を掴むようなセンタリングがテノールには合っている感じがしました。ゆったりとした旋回ながらバリオは甲高い音を奏でて高い上昇率を示してくれます。そんなソアリングがテノールの真骨頂と言えるのかもしれません。



スピード重視の設定

スタート時間を迎えたので天子方面へとトランジットを開始。アクセルは重すぎず軽すぎず、しっかりと踏み応えのある重さで、不意にアクセルを踏みぬいてしまうようなことはないでしょう。アクセルを踏んでいるときの安定感は抜群で、時折軽く翼が前に走ることもあるものの、特に何か操作をする必要は感じない。アクセル中は軽くCライザーを握ってテンションを与えておけば良い。
テノールのトリムスピードは一般的なBクラス機と遜色はなく、アクセルを踏み込んだ速度もCクラス機と互角だった。スピード重視の設計だということが実感!!
ハーフアクセルで巡行中でも近くにサーマルなどの上昇帯があれば、自然とテノールはそちらへ寄って行ってくれる。自由に飛ばせてあげるだけで、上昇をサーチしてくれるのはありがたい。沖出しからのリターンで、あわやランディングかというほど低くなってしまったものの、上昇をサーチしてくれる特性のおかげで何とか復活することができたのですが、その後のこなしが悪く、しばらく渋い局面で前山磨きをする羽目になってしまいました・・・。



じっくり2時間以上をフライトしてランディングアプローチに入る。ランディングも不安な挙動は全くなく、ブレーキングを多用したアプローチを行ったのですが、ここで改めて懐の深い寛容な翼であることが感じられました。



総評

テノールは、よりアクティブなコントロールが好きなパイロット、もしくはそのようなコントロールを身に着けたいパイロットにおすすめしたい。テノールに乗ることで、フライトにおける速度管理やブレークの引き代などをより細かく感じることができるでしょう。逆に、十分な性能を持ちながらも全般的にゆったりと飛べるようなグライダーを求めているパイロット(特にシニアのみなさん)にはシンフォニアをおすすめしたい。
それから、テノールにはウェイトレンジの中間から下限寄りで乗ったほうがより扱いやすい感じがしました。より機敏さを求める場合は中間から上限で乗ればよいでしょう。

ファイのグライダーは普通の見てくれながら、飛べば安全で1クラス上の性能を示してくれます。自分のフライトスタイルや目的に合わせたグライダー選びをする上で、ぜひテノールを候補の一つとしてほしいですね。