AIRHEART Official Blog

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メーカーやパラグライダーの最新情報をお届けします。

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NIVIUK KOYOT4に乗ってみた


NIVIUKのEN-AクラスKOYOT4。同時に軽量のPモデルもリリースされましたが、今回はNIVIUKのエントリーモデル4代目になるKOYOT4をPikaichi Checkです。

テクニカルデータをチェックする

KOYOT4のテクニカルデータです。



セル数は39。前モデルのKOYOT3は36だったので3セル増えています。
アスペクトも実測で4.75。KOYOT3の4.95からは小さくなりましたね。ここ最近のNIVIUKは、HOOK5もそうでしたがアスペクトが小さくなる傾向にあります。これは、それほどアスペクトを上げなくても十分なパフォーマンスが得られること、各モデルの性格や特徴を明確にして乗り手重視の開発を行っていることに尽きるのではないか?と思います。とにかく、NIVIUKのグライダーは乗りやすいことで定評がありますが、乗り手に負担をかけないような設計思想は一貫していますよね。



広げて見た感じも、とてもまとまっている印象です。作りも丁寧で綺麗ですね。



インテイク周りはNIVIUKテクノロジーであるニチノールが縫い込まれた手の込んだ作りです。もちろんグライダーを広げただけで、エアインテイクは自立してライズアップ時のインフレーションを容易にします。



ライザーはA,A'、B、Cの4本構成で、ラインはAが緑、BとCは青に色分けされています。(スタビとブレークは赤)
このあたりの構造は、これまでと大きな違いはありませんが、ブレークコードのホックがマグネットに変更されているのは嬉しい改良ですね。

乗ってみた

KOYOT4のサイズ26(75-95Kg)に、上限の94Kgで乗ってみました。

ラインチェックは色分けされているので簡単に行えます。また、ライザーも適度な太さがあって握りやすいですね。
Aライザーだけを持ってフロントライズアップを試みたところ、最初少しの手応えを感じますが、45度程度まで上がってくるとテンションは軽くなり、そのままスムーズに頭上まで上がってくる流れでした。適度なタイミングでAライザーを放してあげれば特段ブレーキングしなくてもキャノピーは頭上で停止してくれます。この時、もたつくような印象はありませんでした。



意外に良く飛ぶ

冬の朝霧で、そこそこのコンディションだったこともありますが、テイクオフ後にサーマルに入ったのでそのままセンタリング。ブレークのフィーリングはとても素直な印象で、Aクラスと言いながらも反応は良いと思いました。バンク維持も容易で、このクラスでありがちな「戻ろうとする」動きは小さい気がしましたね。



旋回はNIVIUKらしいと言うか、旋回側のブレークコードで微調整を行えば外側はそれ程気にする必要はありません。サーマルの中においてもしっかりと上昇の強い所へ入っていく特性が感じられますので、高高度からソアリングのトレーニングにも使えるだけのパフォーマンスを持ち合わせています。正直に言うと
「意外に良く飛ぶなぁ!!」
と言うのが感想ですね。

それ以外のベーシックな部分について検証してみると、ブレークの操作感は重すぎない適度なテンションがあります。操作域は広く、失速を感じるまでは相当粘ってくれます。ピッチングに入れてみましたが、ピッチ安定はとても良く、前に突っ込むことはありませんでした。ローリングは旋回性が良いことからもわかるように、とても素直に入れられます。とにかくブレーク操作の追従性がとても良いです。講習生にとっては少し「素直すぎる」かもしれませんが、この少し機敏とも言える操縦特性に慣れて行けば、2機目、3機目のグライダー操作においてか必ずプラスに働くことでしょう。

翼端折りもA’ライザーを引くことで簡単に折ることが出来ます。折るときのテンションは軽いです。沈下もしっかり感じられるので降下手段に十分有効かと思います。

総評

NIVIUKのAクラスKOYOT4は、エントリーモデルではあるものの、その後継続的に乗ることも可能なパフォーマンスを持ち合わせています。NIVIUKは

「パイロットとして訓練し、経験を積み、自信と知識の面で進化する際にあなたを支援する本能的で直感的な翼です。リラックスした動作により、飛行のすべての段階で優れた安定性が保証され、パイロットは最初の学習段階で着実に前進できます。」

と言っていますが、まさにその通りの特徴と性能を感じることが出来ました。

安定していながら、やはり微妙な操作は微妙な操作として習得するための課題を与えてくれる翼。それを乗り越えれば、習得した技術はすなわち性能となってあなたの飛びをグレードアップしてくれる。そんな翼であると思います。

1機目ですがオールマイティーな翼として、ある程度の性能も欲しいという環境のエリアやスクールの校長先生に試して欲しいですね。


PHI FANTASIAに乗ってみた


PHIからリリースされたLo-AカテゴリーのFANTASIA(ファンタジア)。これまでPHIのエントリーモデルと言えばSONATAでしたが、それよりもさらに扱いやすいモデルとして開発され、PHIでは「万人の翼」と評しています。

今回、このFANTASIAをPikaichi Checkです!!

テクニカルデータをチェックする

では、FANTASIAのテクニカルデータをチェックします。



今回試乗したのはサイズ22。レンジは75-95Kgですが、これに上限いっぱいの95Kgで乗ってみました。

Lo-Aと言うこともあってアスペクトは投影で3.45、実測で4.69と言う数値。見た目も「初級機だなぁ」と言う印象です。ちなみに、同じAクラスのSONATAは投影で3.42、実測で4.72と近い数値になっています。



エアインテイクは36セルでリーディングエッジ側にはナイロンロッドが装備されています。下面側は半円形状になっていて、写真のように広げた際に自立する構造になっています。そのため、ライズアップ時のインフィレーションを大いに楽にしています。
構造上の特徴として挙げられるのは、ラインにダイニーマを一切使用していないことでしょう。これはブレークコードに至るまですべてのラインに対してです。やはり、ダイニーマの特性である伸縮する問題による影響を排除したかったのだろうと思います。また、サスペンションレベルが3つ(アッパー、ミドル、ロワーの3段階)しかないことも大きな特徴となっています。これも、翼の形状を安定的に保つ意味で大きな役割を担っていると思われます。

乗ってみた

ウィングキッス朝霧テイクオフにFANTASIAを広げると、翼がとても小さく近く見えます。ライザーもシンプルな構造なので、ラインチェックも素早く行うことが出来るでしょう。パラグライダーを習得する講習生にとって、ライザーの構造が単純でラインチェックがしやすいと言うのは負担が少ないし、とても良い隠れた性能だと思います。



Aライザーは2つに分かれており、A1ライザーには赤に色付けされたテープが付けられています。ラインも同じく赤で統一されています。A2ライザーにはオレンジが(ラインは赤)、Bライザーは水色(ラインも同じ)、Cライザーは黒でラインは薄緑になっています。ライザーテープの太さも初級機らしい太さだと思います。

軽いライズアップに驚いた

FANTASIAは、これからパラグライダーを始めるための「1機目」を想定してデザインされているのですが、「ライズアップは手応えがあるのかな?」と勝手に想像していたら全然違っていました。
とにかく軽く上がってくるのです。



写真はあまりにも軽くて頼りない印象だったので、思わず
「ホントに上がってきてんの?」
と振り返っているシーンです。それほど軽いですね。さらに強調したいのは、ライズアップが勝手に頭上手前で止まること。最初は
「上がってこないのかな?」
と思い違いをして取りやめてしまったほどです。それほどイージーなライズアップ特性を持っています。



しっかりと頭上確認を行った後で、ゆっくりと荷重をかけて走り出せばテイクオフはとても簡単でした。

ゆったり、ゆっくり飛んでくれる

フライトしてまず感じたのは

とてもゆったりと、そしてゆっくり飛んでくれる

ということ。



最近のグライダーは、たとえエントリーモデルと言えども十分なパフォーマンスを持っていて、飛行速度もそれなりであることが多いのですが、このFANTASIAはとてもゆとりのある速度感とでも言いましょうか、本当にゆっくりと飛んでくれる印象でした。

それではブレークでの操作はどうか?

初級機らしく、大らかな特性と言うか、引けばしっかりと手応えのあるテンションを伝えてくれるフィーリング。動きも決してクイックではありませんが、引き始めからゆったりとその操作に追従してくれるような動きを見せます。十分にスキルのあるパイロットにとれば、その動きは「もたつき感」と捉えられるかもしれませんが、あくまでこのグライダーはエントリーモデルであり、グライダーの操縦を習得するための道具ですから、その観点で見れば十分反応は良いと言えると思います。

また、サーマルなどのリフトにはしっかり反応し、速度が遅いことも関係していると思いますが、簡単に上昇してくれます。上限に乗っているにもかかわらず、それほど良い条件とは言えない日に、そこそこ滞空出来たのは驚きでした。ただ、ブレークコードによる旋回操作などを行うことで、しっかりと沈下してくれますので、スクーリングなどの場面において講習生が降りられずにアタフタしてしまう・・・と言うことは避けられそうです。

A2ライザーによる翼端折りも軽く簡単に行えました。ただし、これはPHI全体に言えることですが、翼端折りライザーは真下に引き込むようにしてください。外側へ引くような操作ですと、しっかりと翼端を折ることが出来ません。



ランディングもとてもイージーです。元がゆっくりである上に、ブレークコードの操作範囲が広いので、最終アプローチでの速度管理はとても簡単でした。ハーフブレークを上手く使ってあげると狙った場所にかなりの精度で降り立つことが出来ます。ブレーク操作に関しては、かなり粘ってくれます。ですので、スクーリングにおいても、慌てることなく適切な操作を習得することができるでしょうし、誘導するインストラクターもFANTASIAを信頼して操作を指示していただければと思います。

総評

PHIのFANTASIAは、まさに

THE 初級機

と呼ぶにふさわしい性能を持っています。
初級機(特にエントリーモデルと言われるもの)には、パラグライダーをやったことのない人が乗るのですから、私たちのようなパイロットからは想像もできないようなことが起こるものです。それこそ、無茶な操作やあり得ない操作などは想定内でなければなりません。

FANTASIAは、おそらくそれらすべてが「想定内」であるだけでなく、それを懐深く見守りながら成長を手助けしてくれるもう一人の先生…と言ったところでしょうか?
スクールの校長先生には、ぜひ一度試していただきたいと思います。乗っていただければ、FANTASIAの一見地味ですが、懐の深さや寛容な性能を感じていただけると思います。


FLYMASTER用のCTR命名規則と対応したCTRファイル


AIRHEARTがFLYMASTERユーザーに提案するCTR命名規則です。
FLYMASTERのCTR機能では警告は全て同一画面となります。またCTR名も15文字しか表示できないため、これらを運用上でカバーする必要があります。

※動作の詳細は FLYMASTERにおけるCTRの設定方法と動作について をご覧ください

従って、警告画面に表示されるCTR名で制限内容などが判別できるようにしたのが次の命名規則です。

◆命名規則
・名前は15文字以内とする
・名前は以下の要素を表す

◆名前の構成
 ●●●-▲▲▲▲-■■■■■■

 ●●●:エリア識別名(八郷ならばYSTなど)
 ▲▲▲▲:制限空域名
 ■■■■■■:制限事項

 制限事項での記述と意味
  飛行禁止:FLNG
  着陸禁止:LDNG
  下限高度制限:LNG×××
  上限高度制限:HNG×××
  ※×××は高度で123ならば1230mを表す

例 YST-002-HNG150

 YST エリア表記(この場合YaSaToを表す)
 002 制限空域名(この場合002と言うネーミング)
 HNG150 制限事項(この場合高度1500m以上の飛行を禁止)

◆例外
 上記の命名規則の例外として、空港などの管制空域は以下のように記述してあります。

 UTNMY-AP-FLNG → UTuNoMiYa-AirPort-FLNG

これにより、警告画面におけるCTR名を見ただけで制限内容が把握できるため、回避行動をとりやすい。

FLYMASTER用CTRファイル


※真岡の神戸製鋼発電所を追加
※渡良瀬ジャンプの中心地が北に移動



Kortel Design KANIBAL RACE2ハーネスでのスタンディングポジションの考察


Kortel Designのレース用ハーネス「Kanibal Race2」において、スタンディングポジションが取りにくいと言うご意見とご質問を頂戴しましたので検証してみました。
スタンディングポジションは、ランディング体制に入った時に取るべき姿勢ですが、注意すべき点や考慮すべき点などがいくつかありますので、この機会を利用して私なりの意見・考察を私見も交えてご紹介したいと思います。

スタンディングポジションの意味

今さらかもしれませんが、ランディング時にスタンディングポジションを取るのは何故なのでしょう?
知らない方はいないだろうと思いますが、もし知らないのであれば、スクールのインストラクターに聞いてくださいね。

私なりの解釈を申し上げますと、ランディング間際にわざわざ姿勢変化を伴うスタンディングポジションに移行するのは

・低高度でのアクシデントによる落下などの場合において可能な限り足から接地し受け身の体制を取る準備を行うため
・着座姿勢のままだと臀部から腰にダメージを受ける可能性が高いため
・着陸時即座に走り抜けられるように
etc

など、まだまだいろいろ意味があるでしょうが、要するに足から降りるための準備を行うということです。

ポッドハーネスはスタンディングを取りにくい

今回、Kanibal Race2ハーネスでスタンディングポジションが取りにくいとのご指摘を受け、セッティングで解消されるものなのかどうかとの質問も併せて受けました。
私なりの回答としては

「そもそも、ポッドハーネスは空気抵抗を減らして速度を出すことを目的とした道具であり、セッティングもその機能を維持しながらパイロットの操作性や居住性を最大限に発揮できるように行われるものである。一方、スタンディングポジションは、本来ハーネスが意図する機能とは別の状態であるため、スタンディングポジションが取りにくいのはある意味当然である」

と言うことです。スタンディングを取りやすいセッティングを行った場合は、おそらく本来必要な操縦性や居住性などが失われることになるでしょう。ですので、セッティングで解決するか否かと言えば

「セッティングでも解決しない」

と言うのが私なりの回答となります。


上記は、スタンディングポジションの検証を行った動画です。

スタンディングAと言うのは、操縦性や安定性をなるべく確保しながらスタンディングポジション本来の機能を発揮するために私なりに工夫した姿勢です。これが良いとか悪いとか、そう言った話ではなく、本質は

「如何に安全を担保してランディングを行うか」

と言うことです。ですので、これを実践してくださいとか、そういう類の話ではないことをご理解いただいた上で動画や今後の話を読み進めてください。

両足を出すと不安定になる?

レースハーネス、特にKanibal Race2のような大きくて重いハーネスの場合は両足を座版から完全に外したスタンディングポジションを行った場合に不安定な状態になりやすいと言えます。ゲットアップシステムまで身体が下がってしまうことで重心も下がり、高めの吊り位置によって体重移動によるコントロールも難しくなるからです。ただし、だからと言ってこの姿勢を取れない訳ではありません。私自身も両足を出したスタンディングポジションをこれまでも取ってきましたし、それでコントロールしながらランディングを行っていました。胸を突き出した前傾姿勢を作ってカラビナに荷重をかける状態を作り出すような姿勢を取ることによって、スタンダードなスタンディングポジションは必要十分な機能を果たすことができます。



上の写真は片足スタンディングと両足スタンディングの横から見た姿勢です。黄色い線は、ハーネス内部での私の身体の状態を簡易的に示しています。
実は、片足の場合は座版の前側に着座した姿勢を保っています。これは、右足を曲げてポッド先端を突っ張っているために可能な姿勢でもありますが、これによって立った姿勢を取りつつも操作性や安定性を確保しています。
一方、両足スタンディングの場合は、座版から完全にお尻が落ちてしまい、腰からお尻にかけての身体のラインは直線に近くなっています。こうなると、立ち姿勢を保つのもなかなか難しい状況になります。

最も注意すべきは吊り位置の変化

スタンディングポジションを取るうえで、最も注意しなければならないことがあります。それは

・カラビナの位置
・ブレークコードのニュートラルポジション

です。着座姿勢の時とスタンディングポジションとでは、吊り位置が同じではありませんので、それによってライザーの位置関係も変化し、結果的には

ブレークコードの引く位置や量が変わってしまう

と言うことが起こります。

特に、最近のハーネスはカラビナの吊り位置が高いものが多くなっていますので、このことに関しては十分に注意を払う必要があります。



写真は動画から切り出したものなので見難いのですがご容赦ください。

これは、それぞれのポジションにおける相対的な吊り位置の違いを比較したものです。Aは片足スタンディング、Bは両足スタンディング、Cは通常の着座姿勢です。黄色い線はカラビナの位置を同一の高さに合わせたことを示しています。

これを見る限り、ライザーのプーリーに対して相対位置が最も近いのはCの着座姿勢であり、最も遠いのはBの両足スタンディングであることがわかります。身体全体が下方に沈み込む訳ですから、ライザーから遠くなるのは当然のことです。

この状態になった時に行う操作量が適切である必要があります。気流の変化などで不意にブレークコードを引いてしまうなどと言うようなことも避けねばなりません。

ハーネスを乗り換えたり、グライダーを乗り換えたりした場合には、このスタンディング時の吊り位置やブレークの引き量の影響を必ずチェックしておく必要があるでしょう。この点をしっかりと認識せずに、形だけの安易な「スタンディングポジション」は

百害あって一利なし

と言うべきでしょう。

何事もそれを行うには「理由」があります。それを抜きにして格好や形に囚われるのは意味のないことです。

安全に飛び、安全に降りることが必要なことは重々承知のことと思いますが、その本質を全うするために、ユーザーの皆様におかれましてはご自身での工夫などもお願いしたいと思います。くどいようですが、道具には用途があります。その用途は全てを網羅するものでは残念ながらありません。それらの点においては、レースハーネスに乗られるような技術レベルの皆様の技術や知識で有効な活用をお願いする次第です。

以上、私の私見を交えたスタンディングポジションの考察でした。
ご覧いただき、ありがとうございました。


FLYMASTERにおけるCTRの設定方法と動作について


FLYMASTERシリーズにおいて、CTR(Airspace)機能を有効に利用するための設定方法と動作について解説します。
八郷エリアの空域制限や、他のフライトエリアにおいても空域制限などが設けられているケースが多くあり、これらを管理し運用する上においては、FLYMASTERをはじめとしたフライト機器を活用することが有効な方法となります。

FLYMASTERの設定

※事前にFLYMASTERのファームウェアバージョンをご確認ください。最新にされることをお勧めします。最新でない場合は、このブログで解説した動作にならない場合があります。

Airspace(CTR)機能を利用するには、FLYMASTER側の設定を行う必要があります。設定はFLYMASTERのメニューから行います。

⇒Main Menu - Setting - Alerts

で、警告が鳴るようになっているかを確認します。

Airspace:Yes

になっていれば、警告が鳴る設定になっています。Noの場合はYesに変更します。


次はAirspaceの設定に移ります。

⇒Main Menu - Settings - Airspace settings

でAirspaceに関する設定を行います。

CTR dist. Th: XXX m CTRに対して警告を鳴らす水平方向の距離を設定します。

CTR alt. Th: XXX m CTRに対して警告を鳴らす鉛直方向の距離を設定します。

Ignore above: XXX m 設定された高度よりも上方にあるCTRを無視します。例えば3000mに設定すると、3000m以上の空域制限が無視されます。

Ref.altitude: GPS Alti 高度データはGPS高度を利用するように設定します。

Enabled: Yes Airspaceを有効にします

Gray lines: Yes Airspace Mapに表示するかどうかの設定です。Yesにします。

Source: Internal Airspaceファイルのソースを指定しています。Internal(本体メモリ)、SD-Card(SDカード)、Both(両方)となりますが、ファイルはDesignerで行いますので、本体メモリに格納されます。従ってInternalで設定しておけば良いです。


他の設定として、Airspaceファイルに記述されたクラスに対して有効、無効を設定できます。デフォルトは全て有効になっていますので、特に変更する必要はありませんが、機能として覚えておいてもらえたらと思います。

⇒Main Menu - Settings - Airspace Classes

で、各クラスの有効・無効を設定します。
無効にするには Disable: No → Yes に変更します。


FLYMASTERの設定は概ね以上です。

CTRファイルの転送

CTRファイル(Airspaceファイル)の転送は、Designerで行います。お持ちでない方はFLYMASTERのホームページからダウンロードしてください。

Designerを起動し、お使いのPCにFLYMASTERをUSBケーブルで接続します。Designerと接続されると接続された機種がDesigner右側画面に表示されます。
(解説は、NAV SDを使って行っています)


メニューの

⇒Connected Instruments - お使いの機種 - Upload airspace

を選択します。


ファイルを選択するウィンドウが開きますので、Open fileボタンを押して予め用意しておいたCTRファイルを選択してください。


この時、CTRファイルはDesignerがインストールされているフォルダに置いてください。
※Windows10の場合は

 PC > Windows(C:)> program files > Flymaster > Designer



転送するファイルがセットされます。この状態で Upload ボタンを押してFLYMASTERに転送します。
転送中は右側に転送中のバーが出ます。(CTRファイルの容量によりますが、ほぼ一瞬かと思いますが)


以上でファイル転送は完了です。

⇒Main Menu - Nearby Airspace

で、近くのAirspaceがGPS補足後に表示されます。
(写真では近隣にAirSpaceがないので表示されていませんが、近くにあれば表示されます)


AirSpaceの動作について

FLYMASTERにAirSpaceを設定してフライトした場合は、次のような動作をします。これは実際にフライトして検証し、また、メーカーにも確認をとったものです。


上図のようなCTRを設定していた場合を想定します。高度1700m以上が制限空域となります。
FLYMASTERで設定された値は、水平方向のCTR dist. Thと、鉛直方向のCTR alt. Thです。

FLYMASTERの警告は4つあります。

警告1は、CTR dist. Thで設定した水平距離に達した場合。この図で言えば空域Dから水平に空域Cへ向けて飛行し、空域Cに入る瞬間で警告が鳴ります。警告音はサイレンです。

警告2は、CTR alt. Thで設定した鉛直距離に達した場合。この図で言えば空域Aから空域Bに入る瞬間です。

警告3は、CTRの範囲に入る場合。この図で言えば空域Cから空域Aまたは空域Bに入る瞬間です。この警告はとにかくCTRの範囲に進入した場合に必ず鳴ります。空域Aや、例えばCTRの上方の空域制限にかからない空域であっても鳴ります。朝霧エリアの高圧鉄塔などの空域制限の場合は、その上空に入ると制限にかかっていなくても鳴ります。

警告4は、実際にCTRに進入した場合です。この図で言えば、空域CからCTRへ入った瞬間、または空域BからCTRに入った瞬間です。ただし、CTRに滞在していても鳴りっぱなしにはなりませんでした。

どの警告の場合も画面上にはCTRの名前とCTRに対する警告を無効にするかどうかを問うウィンドウが表示されます。NoをYesに変更してEnterキーを押すと、それ以後そのCTRに対する警告は無効になります。また、この警告画面は概ね20秒~30秒程度で消えます。


以上のことから、FLYMASTERではCTRに接近している警告(水平と鉛直)、CTRの範囲に入った警告、本当のCTRに入った警告がありますが、警告の出し方は全て同じですから、今現在どのような警告を出しているのかがわかりにくいと思います。

そのため、これをパイロット自身が判断しなければならないことから、CTRの名前付に工夫をしてアラートが表示された時にある程度判断できるようにしてはどうか?と思います。例えば着陸禁止エリアなどの制限の場合でも上空をパスすればアラートが鳴りますので

着陸禁止区域の場合 AREA01LDNG01

などにする。高度制限の場合

1700m以上が飛行禁止の場合 AREA01HI1700

1200m以下が飛行禁止の場合 AREA01LO1200

などにすると、アラート画面でどのようなCTRに対する警告なのかがわかるので判断がつきやすいのではないかと思います。

※名前は15文字までだとアラート時にすべて表示できます

AIRHEARTが提案する命名規則と、それに対応したCTRファイルは以下のブログにアップされています。

FLYMASTER用のCTR命名規則と対応したCTRファイル

いずれにしても、これらは正しく設定し、実際にフライトするパイロットが意識をすることが重要です。FLYMASTERのAirSpace機能のアラートは決してきめ細かい警告とは言えませんが、十分実用に耐える機能であると思いますので、ぜひ、有効に利用してください。