フライトインプレッション Tenor light21

PHIのEN-B軽量モデルである「TENOR light」の動画です。サイズは21(75-105Kg)です。
パイロットは富士見パノラマの岡田さん、装備重量87Kgでのフライトです。

軽量となったことでTENORほどの機敏さはなくなり、とてもマイルドで乗りやすいグライダーになりました。


PHI VIOLAでフライト

PHIのEN-A軽量モデルである「VIOLA(ヴィオラ)」の動画です。サイズは20(65-100Kg)Extended(100-120Kg この場合はEN-B)です。
パイロットは富士見パノラマの岡田さん、装備重量90Kgでのフライトです。

ベースとなったEN-AのSONATAとは違った味わいになっています。


PHI TENORをチェック!!


ようやく2機目のPikaichi Check!!です。

今回は、PHIのスタンダードBクラスである「TENOR(テノール)」です。

テクニカルデータをチェックする

では、TENORのテクニカルデータをチェックします。



今回乗ったのはTENOR 23です。メーカーサイズ表記ではLなんですけど、体重レンジは90-110Kgです。ど真ん中に当たる装備重量100Kgで乗ってみました。

平面アスペクトは5.14、投影アスペクトは3.67です。一応他の同クラスグライダーと比較してみると

GRADIENT GOLDEN5 平面アスペクト 5.34 投影アスペクト 3.88
NIVIUK HOOK5 平面アスペクト 5.3 投影アスペクトは記載なし
GINGLIDERS ATLAS2 平面アスペクト 5.21 投影アスペクト 3.86
NOVA ION5 平面アスペクト 5.16 投影アスペクト 3.52

などとなっており、NOVAのION5に近い数値になっていることがわかります。見た目も大人しい印象を受けます。



スーパーAクラスとしてセンセーショナルなデビューを果たしたシンフォニアと同じ翼形を持ちながらも、エアインテーク周りの構造はミニリブを採用することでセル数50ながらも100と同じ効果でリーディングエッジをより精密に成形しています。
単純にシンフォニアとテノールのデータ(Mサイズ)を比較すると、平面翼面積はシンフォニアが26㎡に対しテノールは24.98㎡。メーカーのサイズ表示はシンフォニアのMサイズが22、テノールのMサイズが21となっており、テノールが小さい設定になっています。このあたりはテノールの設計思想に基づいており、小型高翼面荷重でスピード性能を高めることを目的としているようです。

乗ってみた

冬の朝霧エリアで、大勢のパイロットとともにタスクを回りながらフィーリングを確かめてみました。
まず、ライズアップはとても軽く、Aライザーに軽くテンションを与えるだけでゆっくりと確実に頭上まで立ち上がってきます。風の強弱によっては少しの抑えは必要ですが、これは一般的なグライダーのテイクオフと同じ。
頭上のテノールを確認したのち、しっかりと荷重をかけて走りこめば簡単に離陸することができました。



コントロールはリニアな感触

空中で頭上を見上げてみると、両翼端側にリーディングエッジから外側へ向けて斜めに2本のラインが入っていて、この翼がテノールであることを主張しています。翼は堅く、しっかりとパイロットを支えてくれる安心感のある乗り心地。
やや強めのスティッキーなサーマルでセンタリングをしてみると、コントロールはダイレクト且つリニアな感じ。引き始めからすぐに反応し、引く量に合わせて旋回もタイトになっていく。操作するのが楽しいと思わせてくれるハンドリング。ただし、ダイレクトな反応を示すだけに引き過ぎはオーバーコントロールにつながってしまいます。サーマルセンタリングとは言えタイト過ぎる旋回は効率を悪くするだけ。引きこんでノーズが切れ込んでいくような旋回ではなく、少し外翼を抑え気味にしてしっかりと上昇を掴むようなセンタリングがテノールには合っている感じがしました。ゆったりとした旋回ながらバリオは甲高い音を奏でて高い上昇率を示してくれます。そんなソアリングがテノールの真骨頂と言えるのかもしれません。



スピード重視の設定

スタート時間を迎えたので天子方面へとトランジットを開始。アクセルは重すぎず軽すぎず、しっかりと踏み応えのある重さで、不意にアクセルを踏みぬいてしまうようなことはないでしょう。アクセルを踏んでいるときの安定感は抜群で、時折軽く翼が前に走ることもあるものの、特に何か操作をする必要は感じない。アクセル中は軽くCライザーを握ってテンションを与えておけば良い。
テノールのトリムスピードは一般的なBクラス機と遜色はなく、アクセルを踏み込んだ速度もCクラス機と互角だった。スピード重視の設計だということが実感!!
ハーフアクセルで巡行中でも近くにサーマルなどの上昇帯があれば、自然とテノールはそちらへ寄って行ってくれる。自由に飛ばせてあげるだけで、上昇をサーチしてくれるのはありがたい。沖出しからのリターンで、あわやランディングかというほど低くなってしまったものの、上昇をサーチしてくれる特性のおかげで何とか復活することができたのですが、その後のこなしが悪く、しばらく渋い局面で前山磨きをする羽目になってしまいました・・・。



じっくり2時間以上をフライトしてランディングアプローチに入る。ランディングも不安な挙動は全くなく、ブレーキングを多用したアプローチを行ったのですが、ここで改めて懐の深い寛容な翼であることが感じられました。



総評

テノールは、よりアクティブなコントロールが好きなパイロット、もしくはそのようなコントロールを身に着けたいパイロットにおすすめしたい。テノールに乗ることで、フライトにおける速度管理やブレークの引き代などをより細かく感じることができるでしょう。逆に、十分な性能を持ちながらも全般的にゆったりと飛べるようなグライダーを求めているパイロット(特にシニアのみなさん)にはシンフォニアをおすすめしたい。
それから、テノールにはウェイトレンジの中間から下限寄りで乗ったほうがより扱いやすい感じがしました。より機敏さを求める場合は中間から上限で乗ればよいでしょう。

ファイのグライダーは普通の見てくれながら、飛べば安全で1クラス上の性能を示してくれます。自分のフライトスタイルや目的に合わせたグライダー選びをする上で、ぜひテノールを候補の一つとしてほしいですね。


NIVIUK ARTIK5をチェック!!

不定期になりますが、このブログではAIR HEARTの取り扱い商品を藤野が実際に使ってみた感想を
Pikaichi Check!!
と題してお送りしたいと思います。

主にグライダーのインプレッションが中心になるかと思いますが、なるべく感じたままに書いていくつもりですので、お時間のある方は読んでみてください。

最初のお題はNIVIUKのCクラスで定評のある「ARTIK5」です。



テクニカルデータをチェックする

まずはテクニカルデータのチェックです。



最近ちょっと巨大化したPikaichiは、ARTIK5の26サイズ(90-110Kg)に装備重量101Kgで乗ってみました。

それを踏まえてデータを見ると、平面アスペクトは6.30、投影アスペクトが4.86です。最近のCクラスにおいてはノーマルな値かな?と思います。ちなみに

GRADIENTのASPEN6は平面アスペクト6.46、投影アスペクト4.99
NOVAのSECTORが平面アスペクト5.92、投影アスペクト4.37
GINのBONANZA2は平面アスペクト6.44、投影アスペクト4.92

ですから、NOVAのSECTORを除けば大きな違いはない…と言っても差し支えない値かな?と思います。

セル数は66セル。綺麗な作りになっていて、飛んでいる姿も美しいですね。やはり美しいものはよく飛ぶのです。



エアインテーク周りの作りもSLE(Structured Leading Edge)によって精密に形成されています。



エアインテークはRAM(RAM Air Intake)によって、安定性に大きく貢献しています。



翼上面側に入っているバテン(チタン)は、ほぼ全体にわたって入っていると言ってもよいでしょう。写真の折ってあるあたりまでチタンが入っていますので、剛性の高い精密な翼形の形成が可能になっています。

乗ってみた

さて、前置きが長くなってしまいました。細かい能書きはともかくとして、本題は

「乗ってみてどうか!」

ということです。なので、その点について感じたままに書いてみたいと思います。

ライズアップはゆっくり

テイクオフに際してライズアップ特性はとても重要です。ARTIK5はアスペクトを感じさせないイージーなライズアップ特性を示しました。もちろん、風の状況やライザーの引き具合など、個々人のやり方によっては様々な感じ方があろうかと思いますが、私は基本的にどんなグライダーに乗ろうともライズアップのやり方は変わりません。軽くAライザーのラピットリングを持ち、左右の翼中央のラインを1本づつ指にかけて真ん中から上がるようにしています。

真ん中だけ上がるということもなく、一旦上がりだせば素早く空気がキャノピーに充填されながら、ゆっくりと頭上まで上がってきます。この時のAラインへのテンション次第では、上がりきらなかったり頭上を追い越したりする場合がありますので、どんな場合でも一定のテンションを加え続けることが大切です。

頭上まで来てしまえば、あとは荷重をかけて軽く走りこむだけでテイクオフは完了します。

ハンドリングは素直

ARTIK5のハンドリングは一言でいえば

「とても素直なハンドリング」

と言う印象です。ありきたりな表現ですが

「引けばすぐに反応して引いた分だけ曲がる」

と言う感じでしょうか?ただ、ブレークコードは引き始めは比較的軽く感じますが、引けば引くほどしっかりと重さを感じますので、むやみに引き過ぎて失速やスピンなどに入れてしまうようなリスクは少ないような気がします。個人的には好きなブレークのチューニングです。

センタリングも、引けばしっかりと曲がってくれるので上昇率に合わせて旋回のバンクを調整してあげればよいでしょう。この時、外翼のコントロールはしない方がよいと思いました。よほどの急な旋回以外は外翼が突っ込むような動きを見せないので、サーマル内では積極的に外翼のスピードを維持するためにもブレーキングとなる抑えは極力行わないほうが調子がよかったですね。
サーマルの強弱によって起こるピッチングによる外翼の突っ込み時のみ、軽く抑えてあげる程度がよいのかな?と思います。

巡行は軽くアクセルを踏んで

今時のグライダーはアクセルを少し踏んでいた方が滑空比が良いと言われますが、ARTIK5も例外ではありません。1/4くらいは常時踏んでいた方がスピードも乗ってよく飛びます。コントロールはCライザーに付いているハンドルで行います。この時、Cラインには常に軽くテンションを与えていた方が気分的にも安心感があります。この場合もピッチングを常にコントロールするのではなく、よほど前に突っ込みそうな挙動を感じた場合だけコントロールしたらよいでしょう。その方がスピードを生かした直線飛行ができ、よりARTIK5のパフォーマンスを引き出すことができます。これができない方は、直線飛行の練習を行うことをおすすめします。機体云々以前の問題で、あなたのコントロールや乗り方に問題がある可能性が大です。とはいえ、ARTIK5はとてもピッチ安定が良いので、それほど大きく揺れることは少ないと思いますが・・・。

フルアクセル時は、さすがにライザーコントロールの場面が増えます。が、それでも基本は同じで

「スピードを生かして極力ブレーキングしないこと」

が重要かと思います。

しかし、これは一朝一夕にできるものではないので、徐々に(例えばノーフレア飛びや、極力ブレークコードを使わない飛びなど)訓練していく必要があります。Cクラスのグライダーともなると、これまでスクールで教えてもらった常識的なコントロールではない方法論や理論があるものです。当然リスクも伴うことになるので、見様見真似で実施するのではなく、しっかりと訓練をして技術を身に着けてもらいたいと思います。

ランディングもコントロールしながら

アスペクトのあるグライダーは、ランディング間際になるとリフトを拾って降ろしにくくなってしまうことがあります。ARTIK5も例外ではなく、その持ち合わせたパフォーマンス故になかなか降りられないという場面も起こりえます。
そんな場合は、やはりしっかりと速度コントロールをしながら高さを調整し、アプローチコースとアングルを変化させられるだけの技術を持つべきです。むやみに左右に振ったりするのはエリアによってはスペースが足りずに危険な場合も多いです。
このクラスのグライダーに乗る方は、とにかくブレークコードの操作範囲を使いきれるだけの技量を持ってほしいですね。

「失速しそうだからこれ以上引けない」

と言っているような方は、まだCクラス機は無理だと思います。いつかヤバい日がくるかもしれません。そうならないように、己の技術をしっかりと磨いてください。

これらの技術がある方であれば、ARTIK5でランディングすることに何ら問題は発生しません。

総評

ARTIK5はCクラスでありながら、まるでBクラスのような安定性を持っているように感じます。若干のタービュレントな空域にいたとしても、ARTIK5はそれを緩和してパイロットに感じさせないような素振りをします。もちろん、経験のあるパイロットであれば、その状況をしっかりと感じ取ることができるでしょうが、この安定性がステップアップするパイロットには要注意な部分だと思います。安定して安全だから、それに任せてしまうような乗り方ができてしまうからです。

そのような乗り方は、ある程度ベテランのパイロットがDクラスやコンペ機から乗り換える場合には有効かと思いますが、ステップアップ中の発展途上パイロットには経験する機会を奪いかねません。逆に、それほど安定しているということです。

ステップアップするパイロットの方にアドバイスするとしたら

・とにかく常にブレークコードのテンションを感じるようにすること
・ライザーやラインのテンションを感じるようにすること
・グライダーの挙動(特にピッチ方向)を常に感じるようにすること

でしょうか。意識して乗らなければ、ARTIK5が安定性を確保しつつも懸命にパイロットに伝えようとしている情報を見逃してしまうことになってしまいます。幸い、ARTIK5はとても懐の深いグライダーなので、安心してその訓練を行うことができるでしょう。

インプレッションをしておいてこんなことを言うのは反則なのですが

「グライダー性能は最終的にはパイロットに依存する」

とPikaichiは思います。私がどんなに素晴らしいインプレを行っても、乗り手次第と言うことです。ですので、こんな風に乗ってほしいという思いは書かせてもらいました。あとは、あなたがARTIK5をどれだけ自分のものにする(手なずける)ことができるかではないでしょうか?

とにかく、性能や安全性についてARTIK5は申し分ありません。あとは

「乗り手がこれをどう使うか?」

が一番重要なことではないか?と思う次第です。


GOLDEN5 26


GradientのEN-B機、GOLDEN5の動画です。サイズは26(85Kg-105Kg)。パイロットは富士見パノラマの岡田さんで、装備重量93Kgでのフライトです。
初代GOLDENから受け継がれた扱いやすさと安全性は、動画からもうかがい知ることができるでしょう。