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PHI BEATに乗ってみた!!


PHIから登場したBEATは、既にBカテゴリーでTENOR、TENOR LIGHT、MAESTRO、MAESTRO X-ALPSの4モデルを持つ中で、このTENORとMAESTROの間を埋めるモデルだと言う。
PHIは、戦略的に各モデル間で小さなステップを踏むことになっており、BEATと同時期にリリースされたCクラスのALLEGROもLow-Cと言う位置づけとなっています。(ALLEGROのインプレに関しては、パラワールド10月号をご覧ください!!)
Bカテゴリーに3モデルを持つことになるPHIのBEATは、どのようなグライダーなのかを確かめてみたいと思います。



テクニカルデータをチェックする

BEATのテクニカルデータです。



平面アスペクトは5.31。MAESTROが5.56でTENORは5.14なので、まさにその中間に位置しています。投影に至っても3.88、MAESTROが4.01、TENORは3.67となっているので、若干アーチがフラットな傾向になっているのでしょう。ちなみに、他のBクラスを見てみると、例えばNIVIUKのHOOK5では平面アスペクトは5.3、IKUMA2では5.7になっていますので、HOOK5と同じ程度のアスペクトを採用しています。
セル数は56、MAESTROが60(120)、TENORが50(100)なので、こちらからも間を取った数値になっていますね。
サイズは18(XS)から2㎡刻みで26(XL)まで6サイズを用意。ただし23(ML)が83-103Kgでいい感じの大きさです。これで50~130Kgをカバーします。



先ほど言ったように、モデルの位置づけとしてはスタンダードBと言う感じで、既にあるTENORとMAESTROの中間にあたるモデル。広げた感じでは、ごくごく普通のBクラスに見えます。これと言った特徴はデザイン以外見当たりません。




エアインテークは安心の大きさ。それぞれのリブは上面側のみ中間で仕切られている。一見すると初級機のFANTASIAに特徴も似ている気がしますが、PHIでは
「少し細めのMAESTROで、ラインプランはALLEGROから、エアインテイクはFANTASIA、全体の優れたバランスはSYMPHONIAの技術が注がれています。」
と言っています。現時点でPHIが持つ最高のノウハウを詰め込んだのがBEATと言うことでしょう。



ライザーもBとCを桁でつないだスピードライザーになっています。今のスタンダードと言うことですね。ラインもAが3本(A1に2本、翼端折り用のA2に1本)、Bに3本+スタビ、Cに3本、ブレークコードの構成で、ラインチェックはとてもイージーです。

とにかく、見た目の印象は普通のBクラスです。

乗ってみた

長い梅雨からようやく解放された8月上旬、夏らしい猛暑日予報のCOOエリアでフライトチェックです。今回は試乗機がワンサイズしかないので、上限になってしまいますがサイズ22(M)の75-95Kgに、ホントにMAXの95Kgで試乗です。



少し不安定な風でしたが、COOの南テイクオフで軽くAライザーを引きこむとBEATはゆっくりと上がってくれます。初級機のFANTASIAのように合わせやすいスピードで頭上付近にとどまるような挙動を見せますので、慌ててブレークを引いて頭上に止めるような操作は必要ありません。軽く合わせるだけで大丈夫です。余裕をもって最終チェックを行い、いざ夏の空へ!!しっかりと荷重をかけて走れば心地よい揚力で空に持ち上げてくれる、そんなテイクオフです。

FANTASIAをBにしたらこうなる?

「パラグライダーは再び楽になる必要がある」と言うPHIポリシーを体現したBクラスのBEAT。飛んでみて思ったのは「楽ちん・・・」ってこと。これはPikaichiだからそう感じるのかもしれませんが、至って普通の乗り味で安心感が凄くありました。真っすぐ飛ぶスピードはBクラスとしては比較的ゆっくり飛ぶような印象です。全体的にどっしりとしている印象で、大気が荒れ気味でもBEATが上手くそれを緩和してくれるようです。
岩山辺りでサーマルを引っかけたものの、安定しない上昇で楽しくないのでCOOの講習場上空まで行って+1くらいのサーマルをヒット。これをしっかり回しながら雲低へ着けることができました。旋回中のブレークコードは手ごたえがハッキリしている感じがします。MAESTROのように引いたらすぐに反応してくれるような機敏さはありませんが、「引いたよー」「あいよー」みたいな感じでいい感じの時間差で舵が効くイメージでしょうか?なので、Pikaichi的には「FANTASIAをBクラスモデルにしたらこうなるんじゃないかなーっ!」っていう感想です。Bクラスとしてはゆっくりゆったり飛んでくれる優しい飛びがBEATです。
でも、アクセルを踏めばしっかりと速度も出るしグイグイと前進してくれます。MAESTROに乗っているベテランさんと筑波山詣でに行きましたが、まったく遜色ない飛びが楽しめます。




総評

さて、売る側からの意見としてTENORは少々ロール方向の動きが良すぎるキライがあって、2機目に乗ってもらうには「うーん・・・」っていうところがあったのが正直なところ。なので、センスのいい人がグライダーの操作習得のため積極的に機体を操縦する飛び方ならば楽しいと思います・・・っていうオススメポイントだったのですが、このBEATはハッキリ言って2機目バッチリOKです。もし、1機目がFANTASIAだったら性能だけアップしたように感じることでしょうね。直線飛行、旋回、ピッチ、ロール特性、アクセル、そして操作性や乗り味などの全要素が絶妙なバランスにセッティングされています。ホントにお見事としか言いようがないです。

パフォーマンスも十分なものがあります。2機目の方にも乗れますが、ベテランでのんびりフライトしたい方にはPHIポリシーである「パラグライダーは楽になる」とか「楽しくないとダメ」って言うフライトが楽しめると思います。グライダー任せで飛ぶも良し、自分で積極的にコントロールして飛ぶも良し、乗り手の技量に対応できるだけのパフォーマンスもしっかり持っています。

何はともあれ、Pikaichiとしても安心してオススメできる2機目ができてとっても嬉しいです!!



NIVIUK ICEPEAK X-ONE に乗ってみた!!


昨年、ICEPEAK EVOXをリリースしてから1年余りで、早くも次のコンペマシーンが登場しました。
「ナンバーワンになる運命の翼」
と言うキャッチコピーが戦闘力の高さを物語っています。

今回のPikaichi Checkは、今最も気になる最新コンペマシーンのICEPEAK X-ONEです!!



テクニカルデータをチェックする

ICEPEAK X-ONEのテクニカルデータです。



最も目を引くのは平面アスペクト比が8、セル数が115あること。ICEPEAK EVOXがアスペクト比7.6、セル数が99だったことを考えると、一気に突き抜けた感じがしますね。機体重量もそれに伴い若干増えています。今回私が試したサイズ22では機体重量が6.06Kgで、EVOXの5.8Kgから約250gほど重くなっています。セル数が多くなったことで、ニチノールやリブなどのパーツが増えているので致し方ないことかと思います。



右がX-ONE、左がEVOXです。どちらもサイズ22ですが、こうしてみるとスパン方向も明らかにX-ONEが大きい。EVOXのスパンデータは公表されていませんが、X-ONEは13.17mなので、左右それぞれ10㎝くらいは差があるように見えます。コード長もEVOX2.11m、X-ONE2.06と5㎝程短くなっています。実際に見ると、アスペクトと相まってかなり細いグライダーに感じます。



セル幅とエアインテークの大きさにも違いがあります。特にインテークはまるでスリットのようです。2㎝くらいしかないと思います。



ライザー周りの基本的な構造はEVOXと大きな変化はありませんが、スタビがA3(Aの一番外側)にカスケードされていました。また、ブレークトグルのホックはKOYOT4やIKUMA2、PEAK5と同様マグネットに変更されています。



NIVIUK自身が公表しているEVOXとX-ONEとを比較したレーダーチャートです。COMFORTABILITY(快適性)、SAFETY(安全性)、DURABILITY(耐久性)の3項目についてはEVOXと同じ評価になっていますが、それ以外は全てX-ONEが良い評価となっています。GLIDING(滑空性)、PERFORMANCE(パフォーマンス)、HANDLING(操作性)、EFFICIENCY(効率)、FULL SPEED(最高速度)と、フルスピードだけが9点で他は10点満点となっています。
NIVIUKとしても、EVOXの安全性や快適性をそのままに他の要素を全て向上させた最強スペックのコンペマシーンであることをアピールしているように思えます。

乗ってみた

「長い前置きは良いから、早くインプレ書け!!」
と言われたような・・・そんな気がしましたので、そろそろ本題に入りたいと思います。
大変お待たせいたしました(^^ゞ



テイクオフに広げると、さすがにアスペクト8は迫力があります。戦闘的なオーラーを放つこの翼で飛ぶことの緊張感が、気持ちを高ぶらせます。
ライズアップはどちらかと言えば少し重めな印象です。しかし、しっかりと風が入っているような条件であれば思ったほど難しくはありません。NIVIUKらしいアスペクトを感じさせない一体感のあるライズアップ特性は意外なほどこの細いグライダーを簡単に頭上まで引き上げることができるでしょう。ただし、そうは言ってもアスペクト8です。翼端側は若干グニャグニャするような感じが否めませんので、セッティングもしっかり綺麗に行った方が良いでしょう。



それから一旦上がった機体はいとも簡単に頭上を飛び越えて行こうとします。風が良ければなおさらです。ここはしっかり確実に頭上で一旦止めて、頭上安定と最終チェックの後にテイクオフの決断をお願いいたします。
これができないCCC乗りはいないと思いますが、もしそうでなければCCCに乗らない方が良いです。また、Dクラスなどのハイパフォーマンス機も同様です。グラハン修行でしっかり技術を身に着けた上でハイパフォーマンス機に乗ってください。

スピードが段違い

空中に出てからの印象は、正直言うと
「思っていたよりもおとなしい・・・」
でした。今まで乗っていたICEPEAK EVOXと比較しても、乗り味やフィーリングは大きな違いが感じられません。実は最初の獅子吼ではテイクオフ後に片翼が潰れてしまってヒヤッとしたテイクオフだったので、空中でもかなり神経質になりながら飛んでいましたが、意外にも乗り味が身に覚えのあるものだったので徐々に安心していったのを覚えています。



自分で乗っている時の印象は、浮きもスピードもEVOXよりも向上していると思いました。浮きについては、やはりグライドアングルが相当真っすぐな感じがしました。ちょっと鶴来町の上空で低くなってしまいメインランディングへ帰るのが厳しい高度だったと感じたのですが、高度ロスなく真っすぐ飛んでランディング上空まで到達できたのは驚きでした。
また、お二方のコンペティターにも試していただき、私が自分のEVOXで飛んで比較飛行も行ったのですが、印象は大きく違わない・・・と言うのが結論です。コンディションによっては、トリムスピードでそれ程違いがない場合もあるものの、アクセルを踏んだ時の加速とスピードは段違いの差がありました。



X-ONEはアクセルがとても軽く踏みやすい印象です。EVOXと同じ構造ですが、なぜかX-ONEでは加速感が全く違います。踏んだ直後から空気の流れる音が変わり加速したことを伝えてくれます。それでいてコントロールに嫌なクセは感じられません。フルアクセルに至っては、音が凄すぎて長く踏んでいられませんでした。少しアドレナリンが出てないとダメみたいですね。
実際にフルスピードのX-ONEとEVOXとの比較ですが、全く歯が立ちませんでした。こちらもフルスピードなのにどんどん遠ざかって行くX-ONE。追いつくなんて不可能でした。



旋回はどうか?と言うと、これもホントにアスペクト8を意識しないで済むほどのハンドリングです。気にしないでブレークを引けばしっかりと反応して曲がってくれます。急旋回にも追随してくれるので、無理やり引いて翼が変形さえしなければブレークコードの実用範囲は大きいと思います。私の印象は、とにかくほぼEVOXの乗り味で性能だけがアップした感じですね。
ブレークコードは若干長い感じがしますが、これもEVOXに乗った方ならば同じ感じでした。ワンラップして飛べば丁度良い感じです。



ランディングにおいても、非常に粘るので中速や低速を活かしてアプローチすることが可能です。コンペなどでアウトランする際やラフなコンディションでのランディング時も、余裕を持ったコントロールが可能だと思いますね。



総評

NIVIUKの自信作であるICEPEAK X-ONEは、最新CCCコンペマシーンながらもEVOX並みの操作性や安定性、安全性を確保しながらパフォーマンスを向上させた予想以上の出来栄えだと感じました。試していただいた稲見さん(現在Gin Boomerang11に乗ってらっしゃいます)曰く「トリムスピードはBoo11に劣る感じがするが、アクセルを踏んだ時の加速や速度は凄いと感じた」とのことでした。アスペクトとしてはBoo11も7.9あるので、それ程違和感がないのかもしれませんね。ただし、GINのグライダーとは操作感が結構違うので、その点では慣れが必要ではないか?とのことでした。稲見さん、ありがとうございました。
また、岩崎さん(現在OZONE ENZO3にのっていらっしゃいます)は、「とにかくスピードがあって、飛んでいて楽しい。アスペクトがあるのに意識しないでも済む翼の硬さやハンドリングは使いやすい。今一番飛ぶグライダーではないでしょうか?」と嬉しい評価をいただきました。岩崎さん、ありがとうございました。

お二方共に、概ね私の感じたことと同じことを感想として持っておられましたので、あながちPikaichi Checkも営業トークだけじゃないことがお分かりいただけたでしょうか?(笑)

とは言え、この機体は間違いなくトップレベルのパイロットが競技で勝つための翼です。誰でも乗れる代物ではありませんので、その点はご了解いただければと思います。少なくとも、コンペ機(CCC)を1機以上乗りこなした方が対象となるでしょう。

NIVIUKの最新コンペ機 ICEPEAK X-ONEは、ホントに凄いグライダーでした!!


NIVIUK IKUMA2Pに乗ってみた


NIVIUKの新しいHi-BクラスのIKUMA2P。IKUMA2の軽量モデルですが、NIVIUKは基本的に各モデルともノーマルバージョンと軽量バージョンのPモデルをリリースしています。今回はIKUMA2P-24サイズに乗ってみました。

テクニカルデータをチェックする

IKUMA2Pのテクニカルデータです。



基本的なデータはIKUMA2と同様ですが、用意されたサイズは22~28までの4サイズ。軽量だけあって22では自重3.3Kgとノーマルバージョンの4.1Kgと比較して800g軽い。他のサイズも同様に(24)4.4Kg→3.6Kg、(26)4.6Kg→3.8Kg、(28)4.9Kg→4.1Kgとやはり800g軽い。



マテリアルはアッパーがDOMINICO N20 DMF / 2044 32 PS、ボトムがPORCHER  70000 E3H。ノーマルのIKUMA2はアッパーがDOMINICO N30 DMF / N20 DMF。ボトムがDOMINICO 2044 32 PS。サイズ24で3.6Kgは本当に軽く感じますね。





ライザー構成とシステムはIKUMA2と同様ですが、軽量のPモデルはソフトリンクになっています。ラインもメインからアッパーまで被覆なし。C2Bシステムも装備されています。



ブレークトグルを留めるのは、軽量バージョン用の小さいボタン。取り外しも取付も簡単で使いやすいです。

乗ってみた

既にIKUMA2の試乗を終えているので、軽量のPモデルでは主に違いについてみていきたいと思います。
サイズ24は75Kg-95Kgですが、撮影機材なども結構あったため上限いっぱいの94.5Kgで試乗しました。



ライズアップはノーマルのIKUMA2同様に軽く簡単に上がってきます。軽量ながらも空気をはらむとしっかりした手応えがあります。ここであまり踏ん張ることはせず、自然に一定のテンションを保つイメージでキャノピーと自分のバランスを調整すると、軽量機にありがちなインテークを潰したりすることはないでしょう。実際にはそれほど意識しなくても真っすぐ頭上に上がってきてくれます。風が良いと、風に向かって走ろうとする挙動が感じられますので、必ず頭上安定で最終チェックを行い、飛び立つことをお勧めします。



ノーマルのIKUMA2に比べると、若干ではありますが風に向かっていく傾向が強い気がします。操作もインプットに対して効き始めるまでのタイムラグがやや少ない(反応が良い)印象でしたので、ソフトにゆっくり操作するのがいいのかな?と思いますね。
頭上安定が完了したら、荷重をかけて走り込めばテイクオフは簡単です。



とってもスポーティーな乗り味

空中でのIKUMA2Pはどうか?

やはり、軽量バージョンと言うこともあってなのか、かなりスポーティーな乗り味に感じました。概ねIKUMA2なのですが、ライズアップの時にも指摘した通り、風見効果と言うか、サーマルなどの気流の変化にとても敏感に反応してくれます。誤解しないで欲しいのは、この敏感に反応するのは「嫌な動き」とか「怖い挙動」ではなく、翼が空気の流れに乗ってスーッとサーマルへ吸い込まれるような動きがわかりやすく伝わってくる・・・と言った感じでしょうか?それに、そのような挙動をしたからと言って、特別翼を抑えないとダメと言うことはなく、放っておいても問題はありません。ただ、今まであまりサーマルに吸われるような挙動を感じたことのない発展途上のパイロットにとっては、このIKUMA2Pの動きはすごくわかりやすい先生になってくれるのではないか?と思います。



C2Bシステムの使い勝手もIKUMA2と変わりません。なかなか操作しやすいです。



雲低が低く、せいぜい1200m強で風に翻弄されそうなシチュエーションでしたが、重めで乗っているにも関わらず浮きもスピードも動きも良くて乗りやすかったですね。重めのせいもあるのかもしれませんが、総じて動きは「能動的」と言いましょうか「積極的」と言いましょうか、とてもスポーティーで操作するのが楽しいグライダーです。逆を言えば、あまり操作しなくても乗れるのですが、乗る人の好みによっては「楽しくない」と感じてしまう可能性もあるかな?と思います。そのような点で言えば、ノーマルのIKUMA2の方が大人しい気がします。
立山の関沢校長は軽めで乗っていただいたのですが、旋回や操作は軽さを感じない軽快な印象だったと言うことでした。

総評

IKUMA2はIKUMA2なのですが、Pモデルは若干スポーツカーのような「操作する楽しさ」とか「乗る楽しさ」を求めるようなパイロットに向いている気がします。軽量バージョンですので、どちらかと言えばハイク&フライを含めたアウトドアのニーズに適応するようなモデルではありますが、インプレでも書いたように気流に対する動きが凄くわかりやすいので

いずれクロスカントリーやコンペなどでさらなるハイパフォーマンス機に乗りたい

と思っているような上昇志向のパイロットが翼と気流の関係や操作、飛ばし方を学ぶにはベストな道具かな?とPikaichi的には思います。

IKUMA2をチョイスするか、軽量だけどIKUMA2Pをチョイスするか?ってことになると、上記のような明確な目的があればIKUMA2Pをお勧めしたいです。
実用性がありながら、リスク少なく操縦の訓練ができるというのは羨ましい限りです。
もちろん、普段乗りやハイク&フライにも申し分ないパフォーマンスです。

いずれにしても、目的を定めて使ってもらえば2倍にも3倍にも楽しめるグライダーですので、気になる方は試乗してみてはいかがでしょうか?

※試乗機はサイズ24のみになります


NIVIUK IKUMA2に乗ってみた


NIVIUKの新しいIKUMA2。NIVIUKのWebサイトを見ると「Accessible performance」と銘打っていますが、この言葉が意味するところは何なのか?も含めてじっくりと試乗していきたいと思います。

テクニカルデータをチェックする

IKUMA2のテクニカルデータです。



サイズは22~30までで5サイズ用意されています。カバーする体重レンジは65Kg~130Kg。
セル数は61セルで、初代IKUMAの57から4セル増加しました。アスペクト比は実測で5.7でIKUMAと変更ありません。同じアスペクト比でセルが増加しているので、より綺麗なシェイプに仕上がっていると言うことでしょう。
ライザーの構成はA-A'/B/Cの3ライザー構成で、ラインはAが2本、A'が1本、Bが4本(スタビ込み)、Cが3本とブレークコードになっています。



ライザーには新たに「CtoBシステム」と言う仕掛けが追加されています。これは、アクセル使用時などにIKUMA2をコントロールするためのシステムで、CライザーからBライザーへ桁が通してあるのですが、要はCライザーを引いた時に、引き量に応じてBライザーも引くという仕掛けですね。これにより、Cだけがイビツに引かれることはなく、翼形を保ちながらバランス良く制御することができます。



広げてみた感じでは、メインラインが被覆なしのケブラーであることによって、「とても飛びそう!!」な印象を与えてくれます。また、平面でアスペクト5.7も十分迫力がありますね。ぱっと見の印象は「手強そう???」な感じです。

乗ってみた

新型コロナ禍から徐々に日常に戻りつつある現状のため、私のホームエリアである立山でも多くのフライヤーが地上練習に汗を流す週末に、まずは一緒にグラハンで感触をチェックしてみました。



ライザーには色分けされているとはいえ、やはりメインラインがむき出しケブラーだとラインチェックには注意が必要です。ライン絡みにも注意ですね。
ほど良い風で立ち上げてみると、NIVIUKらしい軽く穏やかな特性で難なく上がってくれます。この感覚は、どのNIVIUKグライダーにも言えることですが、ホントにアスペクトに関係なくカッチリした手応えで傾くことなく上げることができます。もちろん、セッティングやパイロットの立ち位置が悪いと傾くでしょうが、正しいセッティングで正しく操作すれば、苦労することはないかと思います。



風が良いので立ち上がげただけで揚力をものすごく感じます。風の強弱に合わせて、グライダーが風に食い込むような挙動も感じ取れます。この特性はサーマルサーチで大いに威力を発揮してくれます。



とても穏やかな乗り心地

IKUMA2-26(85Kg-105Kg)に装備重量100Kgで試乗しました。
(※動画では90Kg-110Kgって言ってますが間違いです。、すみませんm(__)m )

5月後半といえども、いつもの立山ならばかなりバンピーなコンディションになりますが、幸いにこの日はそれ程ではありませんでした。
IKUMA2のパフォーマンスを確認するために、この日のサーマルトップ2200mまで上昇して対岸の大辻山へ。北風が入り込むタイミングでサーマル活動はやや鈍化し、代わりに北被りの乱れた空域が待ち受けていました。すごすごと逃げ帰るのは簡単ですが、IKUMA2はそのような状況でもどっしりと頭上にその姿をキープしてくれています。弱く掴みどころのないサーマルを何とか引っ掛けてゆっくりとセンタリングを試みると、敏感過ぎない操作感が緊張感を和らげてくれます。パフォーマンスの高いグライダーでは、ブレーク操作も比例してシビアになっていくものですが、IKUMA2はそのような感じはありません。むしろHOOK5に乗っているような感覚に近いフィーリングです。これまでの経験から「間違いなく空域はタービュレントで細心の注意を払いながらフライトしなければならない」ことはわかるのですが、IKUMA2はそのような状況でも平然と飛んでいられる安定感に驚きます。(だからと言って、危険な空域で問題なく飛べるという意味ではありませんので誤解なきよう)



アクセルも軽く、ハーフくらいまでは十分常用の範囲です。フルアクセルも試しましたが、それ程沈下は増えず、非常に安定した挙動です。さらに、新しいCtoBシステムはとても操作感が良く、手にしっくりと馴染む感じも気に入りました。これはお勧めですね!



握り方としては、CライザーとCtoBシステムのCライザー側のテープを重ねて持つことで短いストロークでコントロールができます。まさに2ライナー感覚ですね。

一通りのチェックを終えてランディングする前に、軽くピッチングとローリングを試しました。
ピッチングは、NIVIUKのBクラスにしては若干前に走る印象がしました。それだけ風に食い込む特性が強い味付けなのかな?と思いますが、「ばびゅーん!!」と突っ込んでいくような動きではないのでご安心あれ。ローリングもテンポよくこなせて旋回性の良さを感じます。
ランディングもブレークの操作域を一杯まで使って低速で進入しましたが、とてもよく粘ってくれます。さすがNIVIUKですね。



総評

「Accessible performance」。これを私は「手が届く!最高のパフォーマンスに!!」と訳しました。
その意味が腑に落ちる、まさにそんな翼に仕上がっていました。

乗った感覚から感じるのは、間違いなくCクラスのARTIK5並みのパフォーマンスを持っています。美女平からエリアに帰る速度や滑空比などを考えてもハイエンドBとは言え驚きの性能です。それ以上に驚かされたのは

HOOK5と間違えるほどの乗りやすさ、安定感でありながら圧倒的なパフォーマンスを発揮できる

と言うことでしょうか。

最近のグライダーはどれも素晴らしい出来になっていますが、それとともに

不必要に高いレーティングのグライダーを選ぶことはない

ことを毎回感じさせられます。Cクラスでなくとも十分なパフォーマンスを手に入れることはできるのです。そして、それを使うのは私たちパイロットです。
乗り手が道具を最大限使うことができるかどうか?これが大切なことなのだといつも思います。

道具を100%使いこなす技量を獲得するために、無理なステップアップではなくそれを実現できるIKUMA2のようなグライダーをチョイスしてもらえることを、個人的には願っています。

ぜひ、このフィーリングを試していただきたいと思います!!


NIVIUK KOYOT4に乗ってみた


NIVIUKのEN-AクラスKOYOT4。同時に軽量のPモデルもリリースされましたが、今回はNIVIUKのエントリーモデル4代目になるKOYOT4をPikaichi Checkです。

テクニカルデータをチェックする

KOYOT4のテクニカルデータです。



セル数は39。前モデルのKOYOT3は36だったので3セル増えています。
アスペクトも実測で4.75。KOYOT3の4.95からは小さくなりましたね。ここ最近のNIVIUKは、HOOK5もそうでしたがアスペクトが小さくなる傾向にあります。これは、それほどアスペクトを上げなくても十分なパフォーマンスが得られること、各モデルの性格や特徴を明確にして乗り手重視の開発を行っていることに尽きるのではないか?と思います。とにかく、NIVIUKのグライダーは乗りやすいことで定評がありますが、乗り手に負担をかけないような設計思想は一貫していますよね。



広げて見た感じも、とてもまとまっている印象です。作りも丁寧で綺麗ですね。



インテイク周りはNIVIUKテクノロジーであるニチノールが縫い込まれた手の込んだ作りです。もちろんグライダーを広げただけで、エアインテイクは自立してライズアップ時のインフレーションを容易にします。



ライザーはA,A'、B、Cの4本構成で、ラインはAが緑、BとCは青に色分けされています。(スタビとブレークは赤)
このあたりの構造は、これまでと大きな違いはありませんが、ブレークコードのホックがマグネットに変更されているのは嬉しい改良ですね。

乗ってみた

KOYOT4のサイズ26(75-95Kg)に、上限の94Kgで乗ってみました。

ラインチェックは色分けされているので簡単に行えます。また、ライザーも適度な太さがあって握りやすいですね。
Aライザーだけを持ってフロントライズアップを試みたところ、最初少しの手応えを感じますが、45度程度まで上がってくるとテンションは軽くなり、そのままスムーズに頭上まで上がってくる流れでした。適度なタイミングでAライザーを放してあげれば特段ブレーキングしなくてもキャノピーは頭上で停止してくれます。この時、もたつくような印象はありませんでした。



意外に良く飛ぶ

冬の朝霧で、そこそこのコンディションだったこともありますが、テイクオフ後にサーマルに入ったのでそのままセンタリング。ブレークのフィーリングはとても素直な印象で、Aクラスと言いながらも反応は良いと思いました。バンク維持も容易で、このクラスでありがちな「戻ろうとする」動きは小さい気がしましたね。



旋回はNIVIUKらしいと言うか、旋回側のブレークコードで微調整を行えば外側はそれ程気にする必要はありません。サーマルの中においてもしっかりと上昇の強い所へ入っていく特性が感じられますので、高高度からソアリングのトレーニングにも使えるだけのパフォーマンスを持ち合わせています。正直に言うと
「意外に良く飛ぶなぁ!!」
と言うのが感想ですね。

それ以外のベーシックな部分について検証してみると、ブレークの操作感は重すぎない適度なテンションがあります。操作域は広く、失速を感じるまでは相当粘ってくれます。ピッチングに入れてみましたが、ピッチ安定はとても良く、前に突っ込むことはありませんでした。ローリングは旋回性が良いことからもわかるように、とても素直に入れられます。とにかくブレーク操作の追従性がとても良いです。講習生にとっては少し「素直すぎる」かもしれませんが、この少し機敏とも言える操縦特性に慣れて行けば、2機目、3機目のグライダー操作においてか必ずプラスに働くことでしょう。

翼端折りもA’ライザーを引くことで簡単に折ることが出来ます。折るときのテンションは軽いです。沈下もしっかり感じられるので降下手段に十分有効かと思います。

総評

NIVIUKのAクラスKOYOT4は、エントリーモデルではあるものの、その後継続的に乗ることも可能なパフォーマンスを持ち合わせています。NIVIUKは

「パイロットとして訓練し、経験を積み、自信と知識の面で進化する際にあなたを支援する本能的で直感的な翼です。リラックスした動作により、飛行のすべての段階で優れた安定性が保証され、パイロットは最初の学習段階で着実に前進できます。」

と言っていますが、まさにその通りの特徴と性能を感じることが出来ました。

安定していながら、やはり微妙な操作は微妙な操作として習得するための課題を与えてくれる翼。それを乗り越えれば、習得した技術はすなわち性能となってあなたの飛びをグレードアップしてくれる。そんな翼であると思います。

1機目ですがオールマイティーな翼として、ある程度の性能も欲しいという環境のエリアやスクールの校長先生に試して欲しいですね。


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